写真・図版
JR大河原駅近くにある恋志谷神社=2024年5月26日午後2時29分、京都府南山城村、北川学撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 JR関西線の加茂(京都府木津川市)―亀山(三重県亀山市)間で何回でも途中下車できる切符の販売が始まった。ダイヤはほぼ1時間に1本。次の列車が来るまで、自然豊かな地域の散策を――。ローカル線の不便さを逆手に取った企画切符だ。

 「JR関西線12駅途中下車の旅きっぷ」は京都、大阪、三ノ宮、神戸、名古屋駅発着の往復切符。京阪神地区発着は加茂から亀山に向かって、名古屋発着はその逆方向で、後戻りしない限り途中下車が何回でもできる。京都駅発着の場合、大人2900円、子ども2500円だ。関西線の加茂―亀山間は61キロ12駅あり、沿線の食堂や観光施設などで使える千円分のクーポンも付く。

 のどかな田園風景が広がるこの地域。切符の企画に携わった関係者は「パワースポット(社寺)巡りがおすすめ」と話す。

 例えば、大河原駅(南山城村)から徒歩で木津川を渡って約10分の恋志谷(こいしだに)神社。境内の案内によると、祭られているのは鎌倉幕府を倒すため挙兵した後醍醐天皇に思いを寄せていた姫(妃(きさき))。「天皇が恋しい、恋しい」と言い続けたことから、いつしか親しみを込めて「恋志谷さん」と呼ばれるようになった。

 縁結びや恋愛成就などの御利益があるとされ、参拝者の記帳書には「いいご縁に恵まれるよう願います‼」「皆さんの恋が実りますように」などの書き込みがある。

 島ケ原駅(三重県伊賀市)から歩いて約15分の鵜宮(うのみや)神社では、鳥居の脇にある石灯籠(どうろう)がひときわ目をひく。高さ5.28メートル、重さ54.2トン。江戸時代の1843(天保14)年に造られた。

 関西線の加茂―亀山間は、単線の非電化区間。人口減少や車社会の進展などで利用客が減った。JR西日本によると、昨年度の輸送密度(1キロあたりの1日平均利用者数)は942人。100円の収入を得るために908円の費用が掛かるという赤字線区だ。

 「旅きっぷ」を企画したのは、木津川市や亀山市など沿線自治体と関係団体だ。この地域に観光客を呼び込むことで、路線を維持していく狙いも込められている。

 販売(利用可能)期間は来年2月16日まで。購入は日本旅行予約サイト(https://www.nta.co.jp/akafu/west/kansaihonsen/別ウインドウで開きます)。各駅のモデルコースなどの情報も載っている。(北川学)

共有