横浜、湘南、八王子。首都圏ナンバーの車が続々とやって来る。平日の昼間、国道413号沿いの3台分の駐車場はすぐにいっぱいになった。ドライバーのお目当ては、わき水だ。
神奈川県と接する山梨県道志村にある「大渡(おわた)の水くみ場」。二つの水道管から水がドバドバと流れ続けている。
4月中旬、相模原市の桜岡盛一さん(72)は近くの道志川で釣りを楽しんだ帰りに立ち寄った。10年以上通っているという。「ここの水を使えばウイスキーも米もランクが上がるんだよ」。いくつものタンクに水を詰め込み、笑顔で100リットルを持ち帰った。
かつては往復1時間 水源なき集落の悲願
わき水の源泉は約1キロ離れ…