写真・図版
VAIOが今年10月に発表した最上位モデル「VAIO SX14―R」

 家電量販大手ノジマは11日、ソニーグループから独立したパソコン(PC)メーカーのVAIO(バイオ)(長野県安曇野市)を総額112億円で買収すると発表した。ノジマは国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)が保有する約93%のVAIO株を全て買い取り、子会社化する。

 JIPから出向している山野正樹社長を含め、VAIOの経営陣は続投する。ノジマで独占販売することはせず、ブランドや販売形態も維持する。株式譲渡は来年1月6日の予定。

 VAIOは元々、ソニーが1996年に発売したPCのブランド名で、薄く、洗練されたデザインが人気を博した。しかし、海外勢との価格競争によって収益が悪化。ソニーの業績悪化の一因とされた。

 14年にソニーが経営再建のためにPC事業をJIPに売却。ブランド名にちなんだ社名を掲げて再出発した。海外事業からの撤退や個人向け機種の大幅な削減を打ち出す一方、国内の法人向けに注力して収益改善を進め、3年目に営業黒字に転換した。

 近年は個人向けを再び拡充するなど業容を広げている。24年5月期の売上高は421億円と、2年連続で過去最高を更新した。

 ノジマは17年にインターネット接続事業のニフティを富士通から買収。23年に携帯電話の販売代理店コネクシオを傘下に収めた。VAIOのPCを手中にすることで、ネット接続やスマートフォンとセット販売できるようになる。「両社の法人向けの顧客基盤を活用したい」(ノジマ広報)としている。(田中奏子)

共有