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英南部にあるストーンヘンジ=ロイター

 世界遺産である英国の巨石遺跡「ストーンヘンジ」にある祭壇石は、約750キロも離れたスコットランド産だった。そんな研究成果を、豪州や英国の研究者が14日、英科学誌ネイチャーに発表した(https://doi.org/10.1038/s41586-024-07652-1)。「信じられない」と研究者も驚く発見といい、日本では縄文時代だった約5千年前の英国では、長距離の海路輸送ができる高度な社会が存在していた可能性があるという。

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 ストーンヘンジは、イングランド南部にある環状巨石群。新石器時代の紀元前3千年ごろ、祭祀(さいし)の場として建設が始まった。鳥居のような形に組まれた巨石が特徴的で、これらの板状の巨石は近くで採取されたことがわかっている。

 だが、中央に横たわる重さ6トンの一枚岩「祭壇石」(長さ5メートル)の起源は長く謎だった。

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ストーンヘンジの中央にある祭壇石(下にある黒っぽい石)©Professor Nick Pearce, Aberystwyth University

 豪カーティン大の大学院生アンソニー・クラーク氏らは、祭壇石の破片から採取したジルコンなどの鉱物の年代と化学組成を分析。英国やアイルランドの堆積(たいせき)物と比較したところ、ストーンヘンジから北へ約750キロ離れたスコットランド北東部の盆地から採取されたものと一致した。

 ストーンヘンジに並ぶ小さめの石は約250キロ離れたウェールズ西部が産地とされているが、祭壇石は産地が違うことになる。

 ストーンヘンジの祭壇石は夏至の日に、北東にある石との直線上に太陽が昇ることが知られている。そのような重要な石が、東京―大阪の往復距離に匹敵する遠方から運ばれてきたのか。クラーク氏はオンライン会見で「私たちもあぜんとし、信じられなかった」と語った。

 では、6トンもの巨石をどう…

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