英スコットランド自治政府のハムザ・ユーサフ首席大臣(首相に相当)が29日、辞任を表明した。自らや政府に対する二つの不信任投票が今週実施される予定となり、このままでは「不信任」が濃厚になると判断したとみられる。
ユーサフ氏は29日に会見を開き、「党や政府、スコットランドにとって何が最善かを考えた。政治的な分断を越えて(他党との)関係性を修復するには、他の誰かが指揮をとるしかないとの結論に達した」と述べた。
39歳のユーサフ氏は2023年3月から現職。英国からの独立をめざすスコットランド国民党(SNP)の党首も辞任する。今後、「できるだけ早く」党首選が実施され、新しい首席大臣が決まる。
今回の辞任は、議会(129議席)でSNP(63)と組んでいた緑の党(7)が気候変動対策などのSNPの政策に不満を唱え、ユーサフ氏が25日に連立を解消したことに伴うもの。SNP単独では議会の過半数に達しておらず、保守党(31)や労働党(22)が不信任案を提出した。
ユーサフ氏は会見で、「緑の党の同僚たちに与えた痛みと同様の度合いを、過小評価していた」と反省の弁を述べた。SNPは3月に実施された世論調査で、ユーサフ氏の就任時に比べて支持を落としていた。スコットランドの次の議会選は、26年5月に予定されている。(ロンドン=藤原学思)