フランスで開催中の第77回カンヌ国際映画祭で20日、アニメ制作会社「スタジオジブリ」への名誉パルムドール授賞式が開かれた。この賞は功労賞的な意味があり、団体に贈られるのは初めて。会場となった2300席のリュミエール劇場は満席となった。映画祭にしては珍しく子どもたちの姿もあった。
ジブリからは、宮崎駿監督の長男で、同社常務の宮崎吾朗監督(57)らが出席した。約10分に及ぶジブリ作品紹介の映像が終わり、吾朗監督が舞台に上がると、総立ちの観客からの拍手と歓声が2分間続いた。吾朗監督はトロフィーを受け取り、「スタジオと美術館とパーク、すべてのジブリを代表して感謝申し上げます」などとあいさつした。
故高畑勲監督とともに39年前、ジブリを設立した駿監督と鈴木敏夫プロデューサーは欠席だったが、2人のビデオメッセージが流された。駿監督が「よく分かっておりませんが、ありがとうございます」と真面目な顔であいさつ。とぼけた掛け合いに、会場は爆笑の渦に包まれた。吾朗監督は「世界中のファンがジブリを愛してくれたからこその賞だと思います」と締めくくった。
その後、三鷹の森ジブリ美術館(東京都三鷹市)で上映するために作られた駿監督の短編「めいとこねこバス」「やどさがし」「パン種とタマゴ姫」「毛虫のボロ」が上映された。(カンヌ=編集委員・石飛徳樹)