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シリアのアレッポの南西に位置するマアッラト・ヌウマーンの町で2024年11月30日、シリア軍の戦車の上に立つ反体制派の戦闘員ら=AP

 在英のシリア反体制派NGO「シリア人権監視団」(SOHR)は1日、内戦下のシリアでアサド政権軍に攻勢をかけている反体制派が北西部の交通の要衝ハマ北郊の町村を制圧したと発表した。北部にある第2の都市アレッポは反体制派がほぼ制圧し、奪還を狙う政権軍やロシア軍の空爆で民間人が巻き添えになっているとされ、人道状況の悪化が懸念されている。

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 SOHRによると、北西部イドリブを拠点とする過激派組織「シャーム解放委員会」(HTS、旧ヌスラ戦線)などの反体制派は11月30日までにアレッポの大部分を制圧。国際空港も占拠した。米CNNも30日、独自に検証した映像や住民の証言をもとに、反体制派がアレッポの大部分を制圧したと報じた。反体制派は首都ダマスカスから約180キロの位置にある北西部ハマに向けて南進しているとみられる。一連の戦闘による死者は計370人を超えたという。

 一方、政権側は奪還に向けてアレッポへの攻撃を開始。SOHRは30日、ロシア軍の空爆で民間人16人が死亡したと発表した。アレッポに住む弁護士の男性(34)は、朝日新聞の電話取材に対し、「政権側による反体制派への空爆をとても恐れている。反撃に巻き込まれ、子どもたちが殺されないだろうか」と不安な心情を語った。

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