欧州連合(EU)は27日、シリアへの制裁を段階的に緩和することで合意した。今後数週間をかけ、金融取引や石油・天然ガスの輸出など、どの分野の制裁を緩和するか詳細を決めていくという。
この日、加盟国の外相による会合で合意した。EU高官によると、一部の加盟国からは「シリアの人権状況は改善されていない」として、金融制裁を解除することに懸念が示された。このためEUのカラス外交安全保障上級代表は、一部の制裁を緩和しつつ他の制裁を維持する「段階的なアプローチ」で、情勢が悪化した場合は再び制裁を科す、あくまでも一時的な措置だとした。
シリアのアサド前政権を崩壊させ、暫定政権を主導する過激派組織「シャーム解放機構」(HTS)とその指導者のアハマド・シャラア氏は依然として、EUなどが「テロ組織」に指定している。カラス氏は「武器に関する制裁など、過激化につながる懸念が払拭(ふっしょく)されないものを緩和することはない」と強調した。
シリアへの制裁緩和をめぐっては米財務省が6日、シリアでの公共サービスや人道支援を円滑にするため、今後6カ月にわたって援助団体や企業による水や電気、エネルギーの供給などに限って制裁の一部を緩和すると発表。EUはこれに足並みをそろえた形だ。