ロイター通信は14日、シリアの治安当局者の話として、シリア西部にあるロシアのフメイミム空軍基地から、ロシアの輸送機がリビアに向けて出発したと報じた。数日内にさらなる出発が予想されるという。アサド政権崩壊後も、後ろ盾だったロシアが同基地を維持するか注目されている。
同通信の13日の報道では、米マクサー・テクノロジーズが公開した衛星画像から、2機の大型輸送機「アントノフ124」に装備品を積み込む準備をする様子を確認した。攻撃ヘリ「Ka52」や地対空ミサイルシステム「S400」の部品も輸送に向けた準備が進められていたという。一方、地中海沿岸にあるロシアのタルトス海軍基地では、10日の衛星画像からほとんど変化がないという。
一方、ロシアの独立系メディアは専門家の見方として、空軍基地の撤退には輸送機を数百回飛ばす必要があり、海軍も、トルコが地中海から黒海へのロシアの軍用艦の通過を認めていないため、ロシアまで遠回りの航路を通るなどの問題があると伝えた。
ロシアは基地存続を含めて新政権と交渉する考えを発信しているが、撤退完了までの時間稼ぎの可能性もある。
ロシアはシリアに二つの基地を持つ。2015年に軍事介入してアサド政権を立て直した後、49年間の租借で合意した。反体制派が首都ダマスカス制圧を宣言し、アサド氏の亡命が報じられた翌日の9日、ロシアのペスコフ大統領報道官は、「安全確保に関係する可能性のある人に連絡を取っている。軍も必要な対応をしている」と述べ、反体制派と接触しつつ、基地の防衛態勢を強化していることを示唆した。