
在英NGOのシリア人権監視団(SOHR)は9日、シリア暫定政権の治安部隊とアサド前政権を支持する武装勢力の間で6日から始まった戦闘にからみ、死者が1千人を超えたと発表した。民間人745人が犠牲になったという。昨年12月のアサド政権崩壊後で最も激しい戦闘となり、国民融和を掲げる暫定政権の統治の不安定化が進む恐れがある。
- シリア暫定政権、アサド前政権支持の武装勢力と衝突 147人死亡か
シリア国営通信(SANA)によると、武装勢力は6日、北西部ラタキア郊外にある暫定政権の検問所や拠点を奇襲。暫定政権は部隊を派遣して掃討作戦を展開し、衝突は西部タルトスにも拡大した。SOHRによると、一連の戦闘によって、暫定政権側で125人、武装勢力側で148人が死亡したという。
ラタキアやタルトスなど地中海沿岸部は、アサド氏が支持基盤としていた少数派のイスラム教アラウィ派が多く住む。SOHRは、アラウィ派の民間人745人が掃討作戦中に「虐殺」されたと報告。暫定政権の治安部隊やその同盟勢力が「戦争犯罪」を行ったと非難した。SANAによると、暫定政権の治安当局筋は7日、「組織化されていない群衆による個別の違反行為があった」とし、暫定政権の部隊は民間人への攻撃に関与していないと主張した。
米研究所「大規模な武力紛争に容易に発展する可能性がある」
アサド前政権を武力で打倒し…