ワシントンで敗北を認めるハリス氏の演説を聞く人たち=ニューヨーク・タイムズ

Was the Trump Election a Setback for Women? Even Women Do Not Agree.

 左寄りの米国人の多くにとって、大統領選でトランプ氏を支持した女性たちが、彼女たち自身の利益に反する投票をしたことは全くもって明らかだ。

 特にリベラル派の女性たちは、他の女性たちがなぜハリス氏を拒むなどということができたのか気をもみ、ほとんどぼうぜんとした状態で日々を過ごしてきた。250年近い米国の歴史で初めて国を率いる女性となるはずだったハリス氏ではなく、女性蔑視的な発言を喜々としてぶちまけるような候補者を選ぶとは。しかも(これが1度目ではなく)2度目だ。

 トランプ氏の勝利宣言後、メイン州のある有権者が取材に対して答えた言葉には、多くの人が感じていた重要なポイントが含まれていた。彼女の言葉を借りれば、「シスターフッド(女性同士の連帯)という現象は起きなかった」のだ。

 今回の大統領選の結果は、男女平等とフェミニズム全般に向かって何世代も進んできたことと、多くの点で矛盾するように思われた。ここ数十年、女性は米国での人生のほぼすべての面で躍進した。労働人口に占める割合は総じて以前より高くなり、高収入の仕事に就き、高等教育では男性を追い越した。しかし、ビジネスでも政府でも、トップレベルに占める割合は低いままだ。

 気づけば女性たちは今、トランプ氏が男女対立をあおる選挙戦を展開し、性差別を売り物にするポッドキャスト配信者と同席し、独身女性を「子どものいない猫好きの女性たち」と批判した副大統領候補(訳注:バンス氏を指す)を選んで、大勝ちした国にいるのだ。トランプ氏は、人工妊娠中絶の憲法上の権利を覆した最高裁判事を任命したことを自分の手柄としているが、それで票を減らすことはなかったようだ。選挙直後には、男性たちによる「お前のからだ、俺の選択[your body, my choice]」というソーシャルメディアへの投稿が出回った。

  • 【注目記事を翻訳】連載「NYTから読み解く世界」

またしても女性の大統領は誕生しませんでした。女性差別的な発言をするトランプ氏に、女性たちが投票したのはなぜでしょうか? その多様な理由を、NYT記者が探りました。

 実のところ、女性たち自身も…

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