インタビューに応じるJR東日本の喜勢陽一社長=2024年6月25日、東京都渋谷区のJR東日本本社、細沢礼輝撮影

 鉄道で通勤する人の数が、コロナ禍前の水準に戻らないなか、鉄道会社は鉄道以外の事業に力を入れる。JR東日本の場合は「ポイント経済圏」が成長のキーワード。交通系ICサービス「Suica」などのデータを活用した新たな街の未来図について、喜勢(きせ)陽一社長(59)に聞いた。

 ――(鉄道などの)モビリティー事業と(ポイントサービスなどの)生活ソリューション事業を半々の規模にするとの目標を掲げています。

 「コロナ禍という想定外のプレッシャーを受け、『鉄道1軸』の経営形態の脆弱(ぜいじゃく)さが明らかになりました。鉄道とは別にもう1軸立てて、2軸で経営を支えていく構造をつくる。その結果として収益や利益が半分ずつになっていくイメージです。(経営ビジョンの最終年度となる)2027年度の営業収益はモビリティーと生活ソリューションで6:4の割合になること見込んでいますが、できるだけ早い時期にこれを5:5にしたい」

 ――5月に始めたネットバンキングサービス「JRE BANK(バンク)」は、特典の豊富さが注目されました。「100万口座の開設」を当面の目標にしていましたが、足元の状況はどうですか。

 「サービスの開始から1カ月ほどで約30万口座の申し込みがありました。想定を上回る形でお客様からご支持をいただいている。スタートダッシュとしては非常に好調な手応えを感じています。想定はなかなかできませんが、(100万口座の開設は)年度内には達成したいと思います」

 ――28年度には「モバイルSuica」や「えきねっと」などの機能をまとめた「Suicaアプリ(仮称)」をリリースする予定です。それに向けて約20種類に分かれている会員IDも統合しますね。

 「サービスをそれぞれ独自に…

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