海外向けのサツマイモを袋詰めするくしまアオイファームのスタッフ=2024年9月24日午後4時44分、宮崎県串間市奈留、波多野大介撮影

 サツマイモ(かんしょ)の輸出が好調だ。甘さが売りの日本産は焼き芋や青果として、アジアのほか、欧米や中東にも拡大。人気の背景には、長期輸送でも品質を落とさず、国ごとの好みに合わせた品種を選ぶなど売り手側の工夫がある。

 宮崎県の南端、串間市に、サツマイモ輸出量で国内最大のシェア約20%を誇る農業法人「くしまアオイファーム」がある。約1450トンの貯蔵設備がある敷地に次々とサツマイモが運び込まれていた。約100人の従業員が働き、半数は外国人だ。

 自社農場と全国約280の契約農家が栽培した年間約1万トンを取り扱う。うち約1千トンを11カ国・地域に輸出し、現地のスーパーなどに出荷。輸送はコンテナ船で、近隣国なら1~2週間、欧米や中東は1カ月以上かかる。輸送中に腐らせない対策が不可欠だ。

 サツマイモが入ったコンテナが積み上げられた貯蔵庫に担当者が案内してくれた。高温多湿に庫内を保つことで、収穫時にできたイモの傷口が自然に治るという。かさぶたのようなコルク層が傷口にできることで、輸送中の腐敗の原因となる病原菌の侵入を防ぐ。

病害きっかけに発案「ピンチをチャンスに」

 鹿児島県鹿屋市の農業法人「南橋商事」は、消毒効果のある過酢酸水を貯蔵庫内のイモに吹きかけ、長期輸送の腐敗リスクを減らす。

 きっかけはサツマイモの病害…

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