最近よく聞く「エモい」。良くも悪くも「いま」を象徴するこの言葉から、見えてくる社会の姿とは。データジャーナリストの荻原和樹さんに聞きました。
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世に言う「エモい記事」はほぼ読みません。単に興味がないからです。
私自身はグラフや地図などを用いてデータをわかりやすく、視覚的に表現する「データジャーナリズム」が専門で、物語が重視される「エモい記事」の対極として扱われる側にいます。
ですが、ほんの数年前まで、データジャーナリズムの重要性は報道業界で理解されておらず、「報道のやるべきことではない」「データを単にビジュアル化しているだけで、取材しないで書く『こたつ記事』と一緒だ」といった批判をさんざんされてきました。そう。いま「エモい記事」に向けられている視線と似ています。
転機となったのが、新型コロ…