人間関係を調査研究している早稲田大学文学学術院の石田光規教授(50)

 新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」に移行して1年半が過ぎた。仕事がテレワークになり、友人と会う機会も制限された日々は、5類移行を境に元に戻りつつある。忘年会シーズンも目前。人の行動やつき合いはコロナ禍によってどう影響を受けたのか。人間関係をテーマに調査研究をしている早稲田大学の石田光規・文学学術院教授(50)に聞いた。

 「災害時は皆が同じような混乱を経験するため、基本的には人のつながりを深める方向に作用します。コロナ禍は特殊な災害で、人のつながりを直撃しました」

 その言葉通り、コロナ禍、とくにまん延防止等重点措置の期間中は、職場や街角から人影が消え、飲食店や居酒屋は静まり返った。一方で登場したのは、端末画面で相手を見ながら会話する非対面の「オンライン会議システム」だ。大企業などが導入に動き、出社抑制時の切り札に。活用は「飲み会」などで個人にも広がった。

 「コロナ禍の前からすでに多くの国民がスマホを持ち、非対面交流の下地は整っていました。ただ、文化の面で『対面の方が良い』という神話めいたものが存在した。ところが、コロナ禍によって社会実験的にオンラインを使い始めると『結構できちゃうな』となり、一気に浸透しました」

 非対面で十分とされたのは、会議や打ち合わせ、説明など。共通するのは、形式化しやすく、単純な対話で済むという点だ。さらにオンライン化は移動時間やコストを減らし、短期的な効果が見えやすかったため、普及に拍車がかかった。

 同時に、コロナ禍は「対面」…

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