会計検査院は6日、国の2023年度決算検査報告を公表した。国費の無駄遣いや不適切な経理などは345件(前年度344件)で計648億円(同580億円)。新型コロナウイルス対策として20~22年度に国が地方に配った地方創生臨時交付金(コロナ交付金)では、総額18兆3千億円のうち約2割の約3兆2千億円が不用になっていた。
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コロナ交付金は、コロナ禍の地方経済や地域の暮らしを支えるためとして創出され、医療機関への支援や飲食店などの休業要請への協力金などの事業が実施された。
検査院が内閣府や総務省、44都道府県の事業実施状況を調べたところ、約3兆2千億円の不用が出ていた。交付金は内閣府から総務省を通じて地方に配られる仕組みだが、約3兆円は内閣府にとどまったままで、地方分の不用は2396億円あった。検査院によると、国は地方で行われた事業を網羅的には把握しておらず、コロナ交付金の不用総額が判明するのは初めて。
「ゆるキャラの着ぐるみ代」事業、「効果が不明」と批判
コロナ交付金は原則として使途に制限はないとされ、自由度が高く活用が可能な制度とされた。だが、「イカのモニュメント(イカキング)」や「ゆるキャラの着ぐるみ代」などといった事業について、「コロナとの関連が見えない」「効果が不明」といった批判が出て、内閣府は22年11月、自治体に対して事業の効果検証を要請した。不用額の背景にはこうした状況があるとみられる。
検査院が自治体による事業の効果検証を調べたところ、4府県で検証が不十分だった。岩手県は事業概要しか公表しておらず、福岡県の検証結果の公表は一部にとどまった。
検査院は「自由度の高い交付金事業は、効果検証を行い国民に情報提供する必要がある」としている。内閣府は「不用の多くは、緊急事態宣言に備えての休業補償の部分だった。4府県では追加の検証結果の公表を行った」とする。
元会計検査院OBの星野昌季弁護士は「真に支出する必要のない予算については不用額とするのが当然で、コロナ禍と関係のない用途に使ってしまうのよりはまだ良いが、必要性が十分検討されないまま予算が過大に計上されていた面もあるのではないか。予算編成、予算の使途の両面について、財政規律の観点からの検証が必要だ」と指摘する。(座小田英史)