
昨年2月に閉館した名古屋・伏見のクラシック専門ホール「三井住友海上しらかわホール」が、存続する見通しであることが分かった。ホール存続を前提とした売却先が決まったという。音響の良さから国内外のプロ・アマの演奏家やオーケストラ、合唱団らに愛され、署名活動が行われるなど存続を求める声が上がっていた。
ホールを所有する三井住友海上火災保険(東京都千代田区)によると、輸入車販売会社「国際」(同文京区)などでつくる新会社に、12階建てのビルごと売却。新会社がホールを再開させる意向という。3月末までに売却手続きを終える。
しらかわホールは1994年に住友海上(現三井住友海上火災保険)の創業100年記念事業として開館。オフィス街の中心で、アマチュアの合唱コンクールから、国内外の一流の演奏家やオーケストラなどの約4500公演を届けてきた。しかし、コロナ禍により公演数が減って維持が困難となり、2024年2月の閉館が決まった。
閉館が決まると、名古屋音楽大など音楽を教える3大学の学長たちが発起人となり、「しらかわホールの存続を望む会」を結成。音楽関係者をはじめ、存続を願う約1万2千筆の署名が集まった。
同会で事務局を務めた名古屋ウィーン・クラブの代表幹事服部吉男さんは「署名をしたことが力になり、存続が決まったのは大きな喜びだ。今後も、この響きのいいホールが学生ら幅広い層に使ってもらえるような仕組み作りや、ホールを守れるような知恵を出していきたい」と話す。三井住友海上火災保険は「地域の方々の存続を望む声を多くいただいていた中で、ホールが再開する予定ということは大変ありがたい」とコメントした。