トンカツにはキャベツの千切りを添えるのが定番。キャベツは天候によって価格が上下しますが、そこに生産コストは反映されていません。一方、パック入りの千切りキャベツを買う消費者も増えています。

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畑で育つキャベツ=2024年2月、千葉県銚子市

産地リレー不調、平年比177%の高値

 10月以降、キャベツは高値が続いている。

 農林水産省の食品価格動向調査では、8月末から9月後半まで、キャベツの価格は平年以下と安かった。しかし、10月初めには平年比124%に上昇。さらに値上がりは続き、11月1週目には1キロあたり311円と、平年比177%に達している。

 今は夏秋物から秋冬物への切り替え時期。同省によると、天候不良で産地リレーがうまくいっていないことが、高い原因となっている。

 日本最大で全国への影響が大きい東京都中央卸売市場では、夏秋物の群馬県産が猛暑やゲリラ豪雨などのため、通常より早く出荷が終了した。秋から増える茨城県産などでは9月の残暑で畑への植え付けが遅れ、生育不良に陥り出荷が少なくなっている。

 価格が天候で上下する一方で、燃料などここ数年の農業生産資材の高騰を受け、キャベツの生産コストは上昇している。

 農水省によると、資材高騰前の2020年までの3年間に比べ、21年から3年間の平均生産コストは9%上がった。しかし、売上高は5%の減。生産コストを価格に転嫁できずに、生産者の収益は33%減少した。

10年で市場規模は2倍以上

 家庭での消費スタイルをみると、キャベツを丸ごと買う代わりに、市販の千切りキャベツを購入するケースも増えている。

 スーパーやコンビニの棚で見かけるようになった、野菜を食べやすくカットしてそのまま食べられるようにしたパッケージサラダ。この分野の大手、サラダクラブ(東京都調布市)の調べでは、パッケージサラダの市場規模は2022年度で約1969億円。この10年で2倍以上に成長した。

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工場に運び込まれたキャベツは、芯を除き、カットする。千切りにしたキャベツをほぐしながら、傷みやカットミスがないかチェックする=静岡県森町のサラダクラブ遠州工場

 同社では、パッケージサラダ全体のうち、千切りキャベツは3割を占める筆頭の主力商品だ。120グラム(税込み参考小売価格108円)のほかに260グラム(同204円)、410グラム(同321円)があり、最近は量が多いものの売れ行きが伸びているという。「買い物頻度の低下もあり、割安な大容量を買って数回に分けて食べているのではないかと思われます」と同社広報・広告宣伝部の吉田政道部長。

 同社が今年実施したウェブ調査では、購入した千切りキャベツを買い置きする人は46.6%を占め、買ったその日に使う人(44.8%)を上回った。ストック食材としての色合いを強めている。

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