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2月に立教大学で開かれた「公開講演会『ガザ・モノローグ』朗読:パレスチナの声なき声に」(科学研究費「イスラーム信頼学」主催)の様子©SHINGO Yoshizawa
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 パレスチナ自治区ガザへのイスラエルによる攻撃が続く中、日本で静かに広がるパレスチナ市民の「言葉」がある。語り、耳を傾ける行為を通じ、この戦渦を他人事とせず、自分に何が出来るか考える営みだ。

 「私たちは爆撃の下を行き、銃弾は何度も周りの地面にさく裂した」(ヒバ・ダーウード「物語はまだ終わっていない」辻愛麻訳)

 「クローゼットの服、靴。冷蔵庫、そう、果物がたくさん詰まってた、あの幸せ」(アリー・アブー・ヤースィーン「戦争の長い時間」梅津尚子訳)

 昨年10月以降、ガザの演劇人などが書いた文章だ。パレスチナ自治区ヨルダン川西岸を拠点とするアシュタール劇場が、「ガザ・モノローグ2023」としてウェブで公開している。

 同劇場は08~09年にイスラエルの大規模攻撃に遭った若者や子どもと独白(モノローグ)集を創作し、10年に発表。世界各地で翻訳上演された。昨年のガザへの攻撃開始後、劇場は世界中に「モノローグ」の朗読や、その動画のSNS投稿を呼びかけ、新たな作品も順次公開。日本でも有志が翻訳、演劇人や市民に朗読の輪が広がる。

 「全く交わりのない人の言葉を自分の身体を通し発信し、聞き手が受け取る。その過程を経ることで本当の意味で感じる余白が作れるのではないでしょうか」

 朗読が続く背景をそう見るの…

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