パレスチナ自治区ガザと日本。離れた地で子育てする2人の母親が、レシピ本を出版した。身近な食を通じることで、パレスチナの人たちや文化に心を寄せてほしいとの願いを込めた。
京都市の料理家、宍倉慈(めぐみ)さん(38)は4歳の息子を育てる。ガザで大勢の幼い命が犠牲になっていることが他人事と思えず、海外メディアのニュースなどをSNSでシェアしていた。
すると、ガザで暮らす人たちからダイレクトメールが届くようになった。「寄付して」「ヘルプミー」。その中で目についたのがアリアさんだった。
ガザ地区の北部にあった自宅を破壊され、今年3月に生まれた次男を含む3人の子どもや夫とともにテントを転々としているという。写真には、息子と背格好が同じくらいの子どもが写っていた。
メッセージのやりとりを続けた。「次男の歯が生えた」との投稿に「おめでとう」と送ると、「ケーキもなく祝えない。めでたくない」と返ってきた。栄養失調で母乳が出なくなり、ミルクに使う水も手に入らない。想像が及ばず、強く当たられることもあったが、そういう話ができるほど、会ったこともない2人は親しくなった。
分からないから、思いをはせる
少しずつ寄付を続けていた宍…