パレスチナ自治区ガザ地区の侵攻を続けるイスラエルが、LGBTQフレンドリーをPRすることで侵攻を正当化しようとする「ピンクウォッシュ」をしているという指摘があります。同志社大学都市共生研究センターの研究員で、イスラエル・パレスチナ地域におけるジェンダー・セクシュアリティーを研究する保井啓志さんにイスラエルの思惑や国内外のピンクウォッシュの現状を聞きました。

保井啓志さん=2024年6月18日午前11時52分、京都市上京区、関口佳代子撮影

 ――2023年11月13日、装甲車両の前で虹色の旗を手にする兵士の画像が、イスラエル国の公式SNSアカウントで投稿されました。「史上初のプライドフラッグがガザに掲げられた。ハマスの蛮行の下で生きている人に希望のメッセージを送る」としています。「プライド」は社会から否定されてきたLGBTQの人たちの誇りを表し、プライドフラッグはその象徴です。どうしてこのような投稿をしたのでしょうか。

写真・図版
ガザで破壊された建物や装甲車両の前で、虹色の旗を掲げるイスラエル軍兵士=イスラエル国のXから

 対外的な宣伝です。イスラエルはLGBTQフレンドリーで民主的な国、パレスチナは野蛮でLGBTQを抑圧しているという二項対立のイメージを利用していると指摘されています。結果的にパレスチナへの抑圧、占領を覆い隠すピンクウォッシュだと批判されています。ピンクウォッシュは同性愛者の象徴のピンクと、壁を白く塗りたくる、不都合な真実を上塗りする意味があるホワイトウォッシュの掛け合わせた言葉です。

 12年にも男性兵士同士が手をつないでいる写真がイスラエル国防軍のフェイスブックに載せられました。英語で「イスラエル軍が全ての兵士を平等に扱っていると知っていましたか」と書かれていました。

 ――どういった反応がありましたか。

 日本でもCDを出したトラン…

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