移転開業した店舗=新潟県長岡市寺泊地区

 カレー激戦区の東京・神保町の中でも根強い人気を誇った店「インドカレーカーマ」。だが、コロナ禍には勝てず、2年前に28年の歴史に幕を閉じた。ただ2代目はその味を守りたいと、再起。選んだのは、日本海の向こうに佐渡島を望む新潟県長岡市の港町だった。

 「ここの軟水は、新鮮な具材のうまみをより引き出してくれる。神保町の時よりおいしくなったと思う」。昨年10月に同市寺泊地区に移転開業した同店で、店主の大野将太さん(37)は言った。

 店は父親の弘さんが1995年に神保町で開いた。サラサラしたルーが特徴で、二つに割ったジャガイモと大ぶりの鶏肉がごろごろと入ったチキンカレーが特に人気を呼んだ。将太さんもカレーが大好き。会社勤めをしていた20代のころには自身で通販サイトを作り、パック入りのチキンカレーを販売する手伝いをしていた。メディアにも取り上げられる人気店だった。

 だが2018年6月、弘さんが脳梗塞(こうそく)で倒れた。短期間の入院を経て退院したものの、体調はすぐれず、そのまま引退。父が去った店を、勤めを辞めた将太さんと母・晶子(しょうこ)さんで守ってきたが、そこにコロナ禍が襲った。オフィス街であり、学生街でもある神保町から会社員と学生が消え、売り上げは激減。家賃を払い続ける見通しが立たなくなった。

 その後の物価高騰などもあり…

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