
スペインの天才建築家ガウディが建設を始めてから140年あまり。「未完の世界遺産」と呼ばれてきたバルセロナのサグラダ・ファミリア教会の完成が近づいていると聞き、1月下旬に現地を訪ねた。
観光客向けの入り口に使われている「生誕のファサード」には、イエス・キリストの生涯を彫刻で描いたレリーフが掲げられ、いくつもの尖塔(せんとう)が空にのびている。中央にそびえ立つ高さ170メートルのメインタワー「イエスの塔」は完成が来年に迫り、その全容をあらわにしている。見上げると目の前に迫ってくるような迫力に圧倒された。
内部を見学してみたいと思ったが、入り口の周辺にできた人だかりを見て心が折れた。観光バスも次々と来て観光客を降ろしていく。取材の合間に立ち寄るには、入場までにあまりにも時間がかかりそうだった。
「この辺りは観光客向けのみやげ物を売る店とファストフード店ばかりになって、地元の人が近づかない場所になった」。案内役を務めてくれた現地の写真記者フリア・モリンスさんは、観光客でごった返す教会と周辺の景色を眺めて嘆いた。
京都でも聞かないほどの「敵意」なぜ
バルセロナでは昨年7月、オ…