全国発明表彰(公益社団法人発明協会主催、朝日新聞社など後援)の今年度の文部科学大臣賞に、ゼネコン大手・鹿島の栗野治彦さん(57)が選ばれた。オイルダンパーの制震効率を向上させるタンク「圧力副室」を開発。揺れを抑える効率は、一般のダンパーの4倍、鹿島の従来品の2倍に上がった。

文部科学大臣賞を受賞した鹿島の栗野治彦さん。後ろは、受賞した次世代制震オイルダンパの10分の1模型=東京都調布市の鹿島建設技術研究所、川原千夏子撮影

 このタンクを搭載した最新型のオイルダンパー「HiDAX(ハイダックス)―R(アール)」を2015年に開発。18年に開業した東京ミッドタウン日比谷を皮切りに、建設中を含め11棟に採用されてきた。

 制震の能力は格段に上がり、栗野さんは「オイルダンパー界の『F1マシン』のようなもの。まさに制震技術の牽引(けんいん)役」と期待を込める。

 技術研究所副所長を務める栗野さんは、1991年の入社から30年以上、制震分野一筋。制震技術の研究開発で業界をリードしてきた同社の屋台骨を支えてきた。

2000年に開発した初代の「HiDAX」は、従来のオイルダンパーに比べて制震性能が2倍に上がった。油圧を調整する制御弁が、独自の仕組みで開閉することにより、揺れに対する「ブレーキ」が大きく働く。

 栗野さんはこの開発で「世の…

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