学校法人・吉田学園(大阪市)が滋賀県彦根市で2027年の開校を目指すエンターテインメントに特化した専門職大学について、学園と市は協定書を交わした。JR稲枝駅近くにつくることを目指していたが、昨年3月の基本合意書の締結から協議を深め、候補地は彦根駅近くの市有地を基本にすることを明記した。
吉田学園はアニメーションやゲームクリエーターなどの学科がある大阪アミューズメントメディア専門学校などを運営する。
一方、彦根市は「映画のまち」を打ち出し、映像作品のロケーション誘致に力を入れる。近年では映画「レジェンド&バタフライ」「近江商人、走る!」「燃えよ剣」などのロケが行われた。学園と市の思いが一致する。
構想では、専門職大学は映画やアニメ、俳優・声優の専攻科を備え、4年制400人の規模。設置場所は当初、誘致がかなわなかった県立高等専門学校の候補地、JR稲枝駅西側の約4ヘクタールだったが、付近で稲部遺跡群に関する遺構が見つかるなどして断念した。
ひこね市文化プラザの一部の建物を活用する案も浮上したが、大津地裁彦根支部に隣接する2670平方メートルを候補地の基本とすることにした。以前は自動車学校などがあった場所だ。
協定書は12日に締結した。和田裕行市長は「映画のまちを目指す市にとって大きな一歩。文部科学省への認可申請や開校に向けて連携を強固に進める」とコメント。
吉田学園の吉田尚剛理事長は「『彦根を映画のまちに』という映画産業を通じての地域貢献も含め、目標達成にさらに近づいたと思う」と話す。(藤井匠)