フランス北西部サン島で2024年6月18日、第2次世界大戦中のナチスドイツに対する抵抗運動を記念する式典に出席するマクロン大統領=ロイター
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 6月30日に実施されたフランス国民議会(下院、定数577)の第1回投票では、極右の流れをくむ右翼政党「国民連合(RN)」がトップに立ち、マクロン大統領率いる与党連合は3番手に沈んで大敗の危機にあります。この連載の1回目、2回目では、「なぜマクロン氏が嫌われたのか」を探りました。では、マクロン氏への「嫌悪」の本質とは何なのか。そのメカニズムを調べる仏国立科学研究センター(CNRS)のアラン・フォール研究部長(政治学)に、話を聞きました。

【連載】嫌われたエリート なぜ大統領は追い込まれたか

 欧州議会選の敗北を受け、マクロン大統領は総選挙という「賭け」に出た。だが、6月30日の第1回投票での劣勢は変わらず、市民の支持は得られなかった。フランス史上最年少で大統領となったマクロン氏はなぜ、ここまで嫌われ、そして追い込まれたのか。

  • 国民の怒り生んだ「賭け」 エリート大統領が「嫌われ者」になるまで

 ――マクロン氏が再選を果たした2022年の大統領選の直前、仏メディアに「なぜ人々はエマニュエル・マクロンを憎みたがるのか」という寄稿をしました。マクロン氏の不人気をどう分析していますか。

 マクロン氏に対する「嫌悪のメカニズム」には三つの要素があります。

 一つ目は、誰も彼に自分を投…

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