日本のウーマンリブの中心的存在とされる田中美津さんが、この夏、亡くなりました。リブ運動を研究する村上潔さんは、田中美津さんらリブ運動の「正史」に出てくる人だけでなく、各地の多様な運動から学べることがあると指摘します。話を聞きました。
労働問題に取り組んだ主婦たち
リブが「再評価」されるたび、語られるのは一部のメジャーな人物やグループばかりで、それが「正史」とされています。ですが、「その他」にされているグループから学べることは大きい。
「正史」の対象はもっぱら1970年代前半ですが、東京・多摩地域のグループ「主婦戦線」の中心メンバーは、70年代末から90年代に、本格的にパート労働の問題に取り組みます。年休取得を求めて、ビラまき、職場交渉、裁判闘争を展開した。「年収の壁」問題への提言も出しています。この過程では頻繁に学習会や討論会を開いて、一般社会にもアピールしました。社会の周縁にいる主婦のリブが、労働問題の核心的な部分に切り込んだ。
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