社会学者の江原由美子さん

 「やりますわよ〝おんな解放〟 ウーマン・リブ銀座に 〝男は締出せ〟機動隊もタジタジ」。1970年10月21日のリブのデモを報じた朝日新聞の見出しです。

 こうした嘲笑的な表現は、当時のメディアにあふれていました。社会学者の江原由美子さんは、メディアのからかいが、その後のリブの否定的評価の一因だと指摘します。

否定的に見ていた女子学生

 1980年代に大学の教員となり、女子学生がリブ運動を否定的に見ていることに気付きました。「男を攻撃するばかげた運動」と記憶されていた。運動に関わった者としてきちんと伝えたいと思い、いくつかの論考を書きました。

 日本でリブというと、70年に始まった女性解放を目指す運動を指します。70年代前半は、大学生や主婦など無名の女性たちによる小さなグループが運動を担いました。集まって、自分のことを語り合う。共有された体験を「自分のことだ」と感じ、つながっていく。なかでも運動の中心的存在とされた田中美津さんの言葉に触発された人は多かったでしょう。

記事の見出しに「猛女史」「おそろしや」ーー

 美津さんの言葉が響いたのは…

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