棺(ひつぎ)を梱包した段ボールには、遺体の頭の位置が空輸関係者に分かるように「Head」と記入されていた=2023年12月2日午後、東京都立川市、長島一浩撮影
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 日本国内で亡くなる外国人が増えている。訪日客(インバウンド)や在留者が増えた影響で、海外への遺体搬送の専門業者には依頼が急増。対応に追われている。

 海外への遺体搬送を手がける燈台(とうだい)舎(東京都立川市)で2023年度に扱った遺体の海外搬送は計37件。

 コロナ禍前の19年度の2倍に及ぶ。今年度はすでに20件を超えた。

 半数は訪日外国人客で、国はネパール、シンガポール、レバノン、セネガル、韓国、米国など様々だ。

 松木修平社長(43)は「国内で外国人の死者が増えるペースは想像以上です。今後、さらに増加するとみています」と話す。

 日本政府観光局によると、23年の訪日客数は2506万人。コロナ禍前の19年比の8割程度まで回復した。円安を追い風に、今年3月には月別で初めて300万人を突破し、過去最多を記録。出入国在留管理庁によると、国内に在留する外国人も23年末で341万人と過去最多を更新した。

 国内の外国人が増えるのと比例するように、国内で亡くなる人も増えている。

 厚生労働省の人口動態統計では、22年に国内で死亡した外国人は8925人。10年前と比べると1・33倍だ。17年に7千人を超え、ここ数年で急増した。23年は概数で9千人超になった。

 遺体搬送を手がける業者は国内に十数社あるとされている。(西岡臣、長島一浩)

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