イスラエルと北隣レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの攻撃の応酬が激化しています。イスラエル軍は30日、レバノン国境付近で戦闘を続けていると発表。北隣のレバノンで活動するヒズボラの拠点を夜通し空爆し、レバノン側からもロケットやミサイルが発射されたといいます。

 イスラエルのネタニヤフ首相は6月下旬、ガザでの激しい戦闘は「まもなく終わる」と述べ、戦力をイスラエル北部に振り向ける意向を示しました。イスラエルメディアは軍が5万人以上の部隊を北に増派させることを決めたと報じています。ヒズボラはイランから支援を受けており、イスラエルとヒズボラの対立がこれ以上激化すれば、戦火は中東全体に波及しかねない恐れがあります。

2024年6月26日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスで食料を受け取るパレスチナ人=ロイター
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■■■2024年6月30日(日本時間)の動き■■■

イスラエル軍、ガザとレバノン国境で戦闘継続

 イスラエル軍は30日、レバノン国境付近およびパレスチナ自治区ガザで戦闘を続けていると発表した。北隣のレバノンで活動するシーア派組織ヒズボラの拠点を夜通し空爆し、レバノン側からもロケットやミサイルが発射されたという。

 イスラエル軍によると、ガザでは北部や最南部ラファなどで空爆や地上からの攻撃を継続。地元メディア「タイムズ・オブ・イスラエル」によると、ガザ北部では少なくとも40人のハマスの戦闘員を殺害したという。ガザ北部の作戦の一部では、国連が運営する学校を「制圧」し、イスラム組織ハマスの戦闘員らが使用する武器が見つかったと主張している。

ネタニヤフ首相、ガザでの戦闘継続を強調

 パレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐり、イスラエルのネタニヤフ首相は30日、「(イスラム組織)ハマスに対する完全勝利のために全力を尽くす」と述べ、戦闘継続を改めて強調した。政府の会合での発言を、イスラエル首相府が発表した。

 ネタニヤフ氏は、戦闘終結の条件として「ハマスの排除」「人質全員の帰還」「ガザが二度とイスラエルの脅威にならないことの確約」「(境界付近への)住民の安全な帰還」を提示。そのうえで「勝利に代わるものはない。これらの目標全てを達成するまでは、戦争を終わらせることはできない」と述べた。

停戦・人質解放交渉、新提案もハマス幹部「実質的な進展はない」

 パレスチナ自治区ガザでの戦闘をめぐる停戦、人質解放交渉について、イスラム組織ハマス幹部のハムダン政治局員は29日、レバノンの首都ベイルートで、「実質的な進展はない」と述べた。AFP通信が報じた。

 AFPによると、ハムダン氏はハマス側が6月24日に新しい提案を受け取ったことを認めたものの、中身について「新しいことはなかった」と話したという。

 交渉をめぐっては、イスラエル側は、ハマスに対する完全な勝利と人質の全員解放が実現するまで戦闘を続けると強調。一方でハマス側は、恒久的な停戦とガザからのイスラエル軍の撤退を要求し、合意に至っていない。

■■■■2024年6月29日…

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