アルゼンチン国立青少年交響楽団と共演するソプラノ歌手の田中彩子さん(中央)=2022年8月、旧アルゼンチン文化省撮影

 アルゼンチンの国立青少年交響楽団が初来日し、8、9月に東京と京都でコンサートを行う。中南米出身の青少年たちに、貧困や虐待などの問題から抜け出す道を与えるという楽団の目的にソプラノ歌手の田中彩子さんが共感し、5年かけて来日を実現させた。

 楽団のメンバーは、26歳までの青少年たち。中南米の様々な環境で育った若者たちがプロを目指している。

 ウィーンを拠点に世界で活躍する田中さんは2012年からアルゼンチンで毎年コンサートを行っている。初めて訪れた時、鉄格子に囲まれた廃虚のような貧困地域を見て衝撃を受けた。その一方、子どもたちに夢を与えようと、オーディションに合格すれば誰でも音楽家を目指す機会を平等に与えようという楽団の理念に感銘を受け、共演を重ねてきた。

公演は、8月30・31日に東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センター、9月2日に京都府亀岡市のサンガスタジアムで開かれます。なぜ日本に招きたいと思ったのか。世界的なソプラノ歌手・田中彩子さんに聞きました。

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 楽団を日本に呼びたいと思っ…

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