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公正取引委員会=東京都千代田区、田中恭太撮影

 JR東日本の完全子会社で、首都圏の駅ビル内の商業施設などを運営する「アトレ」(東京都渋谷区)が、ポイントサービスの運営費の一部をテナントに負担させる契約内容に一方的に変更したとして、公正取引委員会は5日、独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで警告し、発表した。

 商業施設の運営会社とテナントを巡り、共通ポイントサービスの関連で公取委が独禁法違反の疑いで警告を出すのは初めて。

 サービスは「JREポイント」で、加盟店での買い物や鉄道の利用でたまり、現金の代わりに使える。会員数は2023年9月時点で約1440万人。

 公取委の発表によると、アトレは24年7月ごろ、運営する商業施設のテナント約800社に対し、十分な説明や協議をしないまま、25年4月以降のJREポイントの運営費用の一部を負担させる内容に契約を変更する通知を出した。一部のテナントがアトレに問い合わせたが、アトレから「次期契約に影響する」「次の出店に影響する」などと告げられ、契約変更を受け入れざるを得ない状況に追い込まれたという。

 公取委は、JREポイントはテナントにとっても利益があるものの、強い立場にあるアトレが十分な説明や協議をせずに運営費を負担させる契約に変更したことが、独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」に当たる恐れがあると判断した。

 アトレは今年1月に公取委の調査を受けて契約変更を撤回し、ポイント運営費用の一部負担についてテナントと協議を進めているという。

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