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アジア大会開催までの日数を示したカウントダウンボード=2025年2月10日、愛知県庁、松島研人撮影
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 2026年秋に愛知県で開かれるアジア大会。「アジア版オリンピック」とも呼ばれ、県は来年度の当初予算案にアジア大会関連(パラ競技を含む)で、計1077億円を盛り込んだ。県や名古屋市でつくる大会組織委員会は大会経費の全体像について「積算中」として明らかにしていないが、試算では、すでに当初の想定を大幅に上回っている。識者からは「現状を正しく説明するべきだ」との声が上がっている。

 アジア大会の組織委会長を務める大村秀章・愛知県知事は10日の会見で「アジアの平和とスポーツの祭典という大会の理念をしっかり継承したい」と意気込んだ。その一方で、経費については「最後まで節減・合理化を徹底する」と従来通りの説明にとどめた。

 アジア大会関連で、県が今回の新年度予算に盛り込んだのは、競技会場の仮設施設の工事やインフラ整備、選手の宿泊・輸送計画の策定や、宿泊施設のバリアフリー化など。来年度以降の支出が見込まれる債務負担行為も含めて1077億円にのぼる。

試算では当初の2倍超に、県や組織委は公表せず

 県や名古屋市はもともと「質素で合理的な大会」を掲げて2016年に誘致し、大会経費は850億円と見積もった。だが、物価高騰や資材不足などで経費は膨らみ、22年には1400億円ほどになると組織委が試算していることが判明。組織委は選手村の設置を見送るなどして経費の圧縮に努めたが、昨年12月中旬には2千億円ほどかかるとの試算が出たという。パラ競技も含めた大会全体の経費は2400億円ほどになるという。

 このほかに会場使用料や観客…

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