教員の処分について説明する奈良県教委の東村耕作教職員課長=奈良市登大路町

 奈良県教育委員会は26日、県立高取国際高校の男性講師(27)が生徒の胸を触ったとして懲戒免職に、授業で性的な表現を含む映画を上映して生徒が体調不良になったなどとして、県立ろう学校の女性教諭(38)を戒告処分にしたと発表した。

 県教委によると男性講師は11月、放課後の教室で一対一で生徒を指導した際、生徒のひざの上に座ったり、ひざに座らせたりした。その後、背後から手を回し、腹から胸を触ったという。

 生徒が翌日、別の教員に相談して発覚。「教員による性暴力防止法」(2022年4月施行)が、性的な部位に触れて羞恥(しゅうち)や不安を覚えさせることを性暴力と規定することに基づき、懲戒免職に相当すると判断した。保護者の意向などを理由に、警察への届け出はしていないという。

■「やめてほしい」訴えも

 戒告処分となった県立ろう学校の女性教諭は今月、中学部の社会科の授業で動画配信サービスを利用し、男女の立場が逆転した社会を描いた外国の映画作品を生徒4人に見せた。男女共生について考えさせるのが目的だったが、男女の上半身が裸の姿など性的な表現が含まれ、生徒1人が帰宅後、保護者に吐き気や頭痛を訴えたという。

 動画配信サービスでは「16歳以上推奨」とされていたが、教諭は予告編のみを視聴し、全編を事前に見ていなかった。上映中に生徒から「やめてほしい」との訴えがあったが、内容が難解だという指摘と勘違いし、上映を続けたという。

 県教委の担当者は「男女共生というテーマ学習で、悪意はなかったとしても見せるべきではなかった」と説明。教諭は「生徒を傷つけたことを深く反省する」として退職の意向を示し、県教委は26日付で受理したという。

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