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自民党総裁選の候補者討論会に臨む(左から)高市早苗経済安全保障相、小林鷹之前経済安全保障相、林芳正官房長官、小泉進次郎元環境相、上川陽子外相、加藤勝信元官房長官、河野太郎デジタル相、石破茂元幹事長、茂木敏充幹事長=2024年9月14日午後、東京都千代田区、嶋田達也撮影

 自民党総裁選の候補者のほぼ全員が「原発回帰」の姿勢を鮮明にしている。岸田文雄政権が脱炭素を旗印に「原発を最大限活用する」との方針に転じ、新しい首相もその路線を引き継ぐことになりそうだ。ただ、各候補者の発言を読み解くと、濃淡もみえる。

 「原発比率を下げる場合、どうやって安価で安定した電力供給を確保するのか。考えをお聞かせいただきたい」

 9月14日、東京都内で開かれた日本記者クラブ主催の討論会で、小林鷹之前経済安全保障相(49)が、石破茂元幹事長(67)に投げかけた。小林氏は原発の再稼働や新増設に取り組むと積極的に発言しており、候補者の中では高市早苗経済安全保障相(63)と並ぶ推進派だ。2人は、2030年に電源構成に占める再生可能エネルギーの比率を36~38%、原発を20~22%にする現在のエネルギー基本計画を「再エネに偏りすぎだ」とし、岸田政権以上に「原発推し」といえる。

 慎重派の石破氏は「再生可能エネルギーの可能性を最大限引き出し、省エネも最大限やった結果として、原発のウェートを下げることになる」と応じた。以前は「原発はゼロに近づける努力は最大限にする」と述べており、ややトーンダウンしたともいえる。

 かつて「脱原発」を掲げた河野太郎デジタル相(61)は、出馬にあたり「リプレース(建て替え)も選択肢としてはある」と方向転換した。討論会ではその理由について問われ、「データセンターやAI(人工知能)で電力需要が右肩上がりになる。原発を再稼働しても足らない部分がある。前提条件が変わった」などと説明した。

 3年前に改定したいまのエネルギー基本計画には、河野氏や小泉進次郎元環境相(43)の意向で、再生エネ「最優先の原則」が盛り込まれた。その小泉氏も9月上旬のテレビ番組で、原発を「容認」と断言。出馬会見では、リプレースや新設について、「選択肢を閉じることなく考えるべきだ」と主張。原発回帰に傾いている。

 背景には、岸田政権が昨年2…

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