みずほ銀行の元行員が貸金庫から顧客の現金を盗んでいた問題で、同行は約5年にわたってその事実を公表していなかった。その理由は「お客様との関係を踏まえた」などと説明している。だが、この間に三菱UFJ銀行などで同じような事案が起きており、専門家は「すみやかに開示していれば他行のケースを防げた可能性も否定できない」と指摘する。

みずほフィナンシャルグループ本社の看板

 みずほ銀によると、2019年、支店の行員が顧客2人が利用する貸金庫から現金を計数千万円を盗んでいた。発覚後、行員を懲戒解雇し、ほかの被害がないことを確かめた上で、再発防止策を講じたという。この際、金融庁には報告したが、公表はしなかった。

 貸金庫をめぐっては24年10月、三菱UFJ銀で、元行員が支店の貸金庫から十数億円分もの金品を盗んだとされる事件が発覚。元行員はその後、窃盗容疑で逮捕され、三菱UFJ銀は半沢淳一頭取ら役員5人を減給処分とした。窃盗は20~24年に行われたとされ、みずほ銀での事案の後だった。

 金融庁によると、19年4月以降、三菱UFJ銀のほかに、二つの金融機関で貸金庫からの窃盗被害があった。うち1件はハナ信用組合(東京)で、昨年2月、「不祥事件の発生とおわびについて」とする文書を公表。次長が鍵を不正に複製して現金を盗んだとして懲戒解雇処分にした、と発表した。同組合の担当者は「不祥事の対応として公表すべきだと判断した」と話す。

 一方、みずほ銀は今月18日まで事案を公表しなかった。前夜にテレビ東京がこの問題を報じ、報道各社も伝えたことを受け、「元行員による不祥事案に関する一部報道について」という形で明らかにした。広報担当者は、これまで非公表とした理由について「お客さまとの関係なども踏まえて公表しなかった」と説明している。

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 一方で、朝日新聞は昨年、貸…

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