連載「1995年からの現在知」
2020年代に入り、突如として起きた「ひろゆきブーム」。巨大掲示板の元管理人は、時代の寵児(ちょうじ)となった。そのまま、時代を代表するインフルエンサーとしての地位を確立した。
SNSのX(旧ツイッター)アカウントのフォロワー数は250万人を超え、YouTubeの登録者数も150万人を超える。評論家の真鍋厚さんは、ひろゆき(西村博之)さんの示すさまざまなメッセージが、時代の心象風景とぴったり合致した、と話す。
人気の底流には、1990年代以降の経済の停滞があり、片づけコンサルタントの近藤麻理恵(こんまり)ブームや、身の回りのものを極力減らす「断捨離」ブームとも共通する要因があるという。真鍋さんにその人気の理由を聞いた。
――ひろゆき人気について、どう分析していますか
ひろゆきの言葉が刺さる「ロスジェネ」「若者」の心象風景
彼について語るときに、知識人やメディアは、軽い皮肉や嘲笑で片付けがちで、あまり真剣に論じられることは多くないと思います。一方で、ひろゆきさんが近年、若者に支持されるようになったことは、時代の空気を映す重要なテーマかと思います。
彼の考え方のベースにある、努力信仰の否定、上昇志向の否定、消費による幸福の否定という三つが、うまく時代にはまっていたのだと思います。
――ひろゆきさんは、76年…