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釧路方面本部地域課の山谷警部=2024年10月10日午前11時46分、北海道釧路市幸町10丁目、鈴木優香撮影
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 対向車線を走る大学生風の女。パトカーの窓ガラス越しに何げなく見ると、一瞬合った目をそらされた気がした。

 「気のせいかな」。それでも、山谷佑一警部(45)は何かがひっかかった。まだ駆け出しの北海道警のとある警察署時代。夕方6時ごろだった。サイドミラーに映る去りゆく車を見ると、ほんの一瞬だけ蛇行して見えた。

 急いでUターンし、呼び止める。車外に出てきた女は酒の臭いもしなければ、薬物常習者にあるげっそり感もなかった。怪しい点は見つからない。

 女は手元の携帯電話をいじりながらも、質問に答え、所持品検査も協力的に応じた。

 蛇行は、ただの運転ミスだったのか。念のため腕をまくってもらう。左ひじの裏側あたりに小さな赤黒い点があった。

 「さっき献血してきたんです」

 女は注射痕を見せながら、悪…

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