静岡県沼津市にある「デイケアさとやま」を訪ねた。運動会でもなじみの曲「天国と地獄」に合わせて「ドン、ドン」と女性の職員がかけ声でリズムを刻む。画面の前では、施設に通う高齢者が人気ゲーム「太鼓の達人」を楽しんでいる。
この施設が2023年に導入したのは高齢者向けeスポーツサービスだ。eスポーツは、コンピューターゲームを用いた対戦競技の総称。脳の訓練や指先の運動で認知症の予防を図る。
「通所者同士の仲も深め、健康にもつながって欲しいと思った」と職員の柳田礼央さんは狙いを語る。
社会現象を起こした任天堂の家庭用ビデオゲーム機「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」が1983年に発売されて40年以上。業界では技術の進化が著しく、市場も拡大した。「ファミ通ゲーム白書」によると、家庭用ゲーム機やソフトなどの国内のゲーム市場規模は2023年に2兆1255億円で、04年の約4倍に成長。世界市場は29兆5162億円に上る。
成長の原動力はスマートフォンで遊べるゲームアプリなどの「オンラインプラットフォーム」の拡大だ。スマホがあればどこでも遊べるという手軽さもあり、この市場は10年前から2倍以上に成長した。
私も幼い頃からゲームに夢中になった。小学校に入学してすぐの02年、初めて「ゲームボーイアドバンス」を買ってもらった。放課後になると、友人の家や公園に集まっては、人気の「ポケットモンスター」シリーズなどにのめり込んだ。
ただ、「ゲームをしても将来…