若い世代から強い支持を受けたという、都知事選の石丸伸二氏、衆院選の国民民主党、兵庫県知事選の斎藤元彦氏。そこに共通するものは何なのか。
「石丸現象とTikTok」「ひろゆき論」などが話題になった社会学者の伊藤昌亮さんが、三つの選挙から見えた若者世代の意識を読み解きました。
――今回の衆院選の結果、特に国民民主党が若い世代の支持を集めたことをどう見ていますか。
「衆院選を考える上で鍵になるのは、世代間対立です。投票日前後の3日間に、X(旧ツイッター)でどんなキーワードが盛り上がったかを調べてみたのですが、公示1週間前の3日間に比べて『シルバー民主主義』は18倍、『現役世代』も6倍に増えています。社会保障費や医療費についての投稿も目立ちました。対照的に、大きな論点になると思われた『選択的夫婦別姓』などはほとんど増えていません。安倍晋三政権時代のような左右間の対立ではなく、世代間対立という構図が明確に出て、『手取りを増やす』というフレーズで現役世代優先を掲げた国民民主党が躍進したのでしょう」
「それは、東京都知事選での『石丸伸二現象』や、兵庫県知事選で斎藤元彦氏が再選されたこととも間違いなくつながっています。石丸氏は、老害批判、既得権批判で若い世代の支持を得ました。兵庫県知事選でも、県議会や県庁は既得権益のかたまりで、斎藤氏はそれを壊そうとしているという『物語』が、現役世代を中心に受け入れられた。やはり世代間対立の構図がつくられ、既得権を批判する側が支持されたといえます」
高齢化社会における「弱者の新自由主義」
――既得権批判は以前からあり、新しい現象ではないのでは。
「既得権益の打破を求める声…