
インスタグラムで「#irisusa(アイリスユーエスエー)」と検索すると、米国のインフルエンサーがパックご飯を手に取った動画が多く見つかる。
「わずか80秒で、レストランのようなご飯ができる」。レンジで温めたご飯とおかずをワンプレートに盛りつけながら、インフルエンサーの女性がそうPRする。
生活用品大手アイリスオーヤマ(仙台市)は昨年1月、必要な米当局の認証を取得し、米国でパックご飯の販売を開始。インスタグラムの投稿はインフルエンサーとのタイアップで、米国での販促活動の一環だ。美容や食品、健康、ファッションなどさまざまな分野の約40人を起用する。
農林水産省によると、パックご飯の輸出額は、2019年に5億1千万円だったが、24年には3倍近くに増加。このうち約4割を占めるのが最大の輸出先の米国で、同社にとって米国進出は「悲願」(社長の大山晃弘)だった。
まずはアジア系人口の多い西海岸を中心に販売する。米国では韓国メーカーなど安価な商品と競合するほか、輸出には関税もかかる。だが、日本食ブームや円安の追い風もあって販売は順調だ。大山は「イギリスやカナダ、中国などにも参入していきたい」と意欲を示す。
「快進撃」だった家電事業、伸び悩み
同社は1958年に大阪で創業したプラスチック製品を下請け加工する「大山ブロー工業所」がルーツで、変幻自在な経営が特徴だ。
最初のヒット商品は、66年…