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不用品買い取りの一括査定が依頼できるサイト「おいくら」

 「粗大ごみ」を出す前にリユースを検討しませんか――。京都府亀岡市が不用品の買い取り査定サイトを活用することで、ごみ削減と資源循環への協力を市民に呼びかけ始めた。2023年にこの仕組みを導入した京都市も市民の反応は上々だという。

 亀岡市資源循環推進課などによると、ネット型リユース業「マーケットエンタープライズ」(本社・東京都)が展開するサイト「おいくら」(https://oikura.jp/)を活用し、市の公式サイトにリンクを設ける。不用品の写真などを添付して査定を依頼すると、全国約700社の登録リサイクルショップに一括して査定依頼され、買い取り価格を比較することができるという。納得できる価格の提案がない場合は契約する必要はない。

 市ではこれまで、持ち寄り可能な不用品の交換会などを開いて再利用を進めてきたが、まだまだ使えるものが粗大ごみとして出されるケースが多いという。

 亀岡市の処分手数料は、処分場へ自力で持ち込めば10キロで180円だが、回収を希望する場合は高くなる。例えばたんすはサイズによって1200円と2400円、食器棚・本棚は800円と1600円、ファンヒーターで800円――といった具合だ。指定の回収場所に出す必要もあり、市民からは「運び出してもらえないか」という声が多く寄せられているという。

 「おいくら」には、出張買い取りが可能なリサイクルショップも登録されている。冷蔵庫や洗濯機など家電リサイクル法の対象製品であっても、使用可能な状態であれば買い取ってもらえることもあるという。

 市の担当者は「市民は処分手数料を節約でき、市もごみ処理のコストを減らせて一石二鳥。捨てる前にまず『おいくら』を試してもらえませんかとPRしていきたい」と話す。

 23年7月に亀岡市と同様の連携協定を結んだ京都市では、昨年11月末までの1年5カ月間で、京都市の公式サイトを通じて約1700件の一括査定依頼があった。市資源循環推進課の担当者は「実際の成約件数は不明だが、捨てる前にリユースを検討するという行動変容が起きているのではないか」と手応えを感じているという。

 マーケットエンタープライズによると、「おいくら」はすでに全国200を超える自治体と連携しているが、居住自治体を問わず誰でも査定依頼が出せる。

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