ジョン森さん(左)が専門家らと赤穂市内を巡る「赤穂でブラモリ」の撮影風景=2023年12月、兵庫県赤穂市、播州赤穂の塩・ジオ研究会提供
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 兵庫県赤穂市の市民グループが、市内の名所を巡る動画を作り、ユーチューブで公開している。オールバックのヘアスタイルにサングラス姿の男性が、街をぶらりと歩きながら歴史を学んでいく。あれ、これってもしかして……?

ブラタモリではなくブラモリ

 動画のシリーズ名は「赤穂でブラモリ」。

 第1話の「塩の国ブラ歩き」では、タレントのタモリさん……に似た男性が「赤穂はなぜ日本第一の塩の産地になったのか?」というお題が書かれた巻物を受け取る。

 その後は高校生らに同行しながら専門家たちから説明を受け、赤穂海浜公園や赤穂コールドロンの岩脈、赤穂城跡などを巡る。

 「塩だけに、甘くはないか」「江戸時代の最先端の作業ですね」などとユーモアを時折まじえながら感想を述べるのも「本家」そっくりだ。

「来てくれないなら自分たちで」

 動画は、赤穂市内で街おこし活動をしている9人が2021年4月に結成した「播州赤穂の塩・ジオ研究会」が制作している。

 市内には「『日本第一』の塩を産したまち 播州赤穂」と、江戸~明治時代に活躍した「北前船」が寄港したまちの日本遺産がある。

 ほかに8300万~8200万年前の噴火でできた巨大カルデラの跡「赤穂コールドロン」もあり、これらの観光資源をPRするため、NHKの番組「ブラタモリ」を赤穂市に誘致できないかと考えた。

 市内を巡るモデルコースを考案し、「NHK側に手紙を送った」(同会)というが、番組の誘致は実現しなかった。

 そのため昨年4月、「来てくれないなら、自分たちで番組風の動画を作ろう」と方針を変えた。

 タモリさんに似ている大分県在住のアマチュア芸人・ジョン森さんに出演を依頼。「ブラモリ」のタイトルの「モリ」は森さんのことで、撮影中に観光客から「本物」と間違えられ、写真撮影を求められたという。

 ほかに神戸大学名誉教授の地質学者や県立赤穂高校の生徒5人も出演し、昨年12月に2日間にわたり市内各地で撮影した。制作には、県の地域づくり活動応援事業の助成金から約10万円を充てた。

 10分前後の1~4話の動画に編集し、今年2月末からユーチューブで公開している。同会によると、NHK側にも事前に問い合わせて、公開に問題がないことを確認したという。

 同会は名所を巡るモデルコースを紹介した「ブラ歩きマップ」も計7千部作り、JR播州赤穂駅近くの観光協会などで無料配布している。

 門田守弘・研究会長(72)は「動画を見て赤穂を訪れて、マップを手に『森さん』が歩いたコースを実際に巡ってもらえたら。赤穂には様々な見どころがあることを知ってほしいです」と話す。(森直由)

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