
一人娘による殺害や死体損壊などの行為を手伝った罪に問われ、全面無罪を主張した田村修被告(61)に対し、札幌地裁は12日、殺人幇助(ほうじょ)罪の成立を認めなかった。一方、頭部を自宅に持ち帰った後の死体遺棄・損壊の幇助については有罪と認めた。家族関係が注目される中、どのように判断したのか。
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これまでの公判で検察側は、娘の瑠奈被告(31)=殺人罪などで起訴=は無職で、長年自宅に引きこもっており、1人で外出もままならなかったことから、「事前に両親に事情を明かして、協力を取り付けなければ実行できない」と主張していた。
一方、弁護側は、両親は瑠奈被告の精神の安定に心を配っていただけで、従属的ではなかったといい、「娘の計画を事前に知らなかった」と無罪を主張していた。
弁護側によると、瑠奈被告は18歳ごろから自殺未遂や自傷行為を繰り返していた。妄想も口にし、「瑠奈は死んだ」として、両親に自身の名前を呼ばせなかったという。
約6年前を最後に、本人が精神科の受診を拒否。精神科医の修被告が薬を処方していたという。修被告は法廷で、「通常の親子としての会話が難しく、(瑠奈被告の発言を)否定も肯定もしないのが基本だった」と話した。
判決は、こうした弁護側の主張を「おおむね事実」と認めた。事件のきっかけは、すすきののホテルで起きた瑠奈被告と男性とのトラブルだったとし、瑠奈被告は事前に被害者の殺害を計画していたと認められるとした。
ただ、両親に対しては「目的を明かさず、あるいは適当な目的を言いながら、犯行用具を購入させたり、送迎させたりした可能性を否定できない」とした。
一方、判決が不自然さを指摘…