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さいたま市桜区の田島ケ原サクラソウ自生地。今年もガバメントクラウドファンディングが行われている=同市提供

 さいたま市の事業に寄付を募るふるさと納税型の「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」で、市民から疑問が出ている。寄付を該当事業に充ててはいるものの、その分だけ事業費が増額されるわけではないからだ。市は、寄付を集めた担当部局の予算を手厚く配分するなど取り組みを促しており、専門家はこれを評価する一方で、寄付者らへの丁寧な説明を求めている。

 市財政課によると、さいたま市のGCFは2021年度に始まった。決算がまとまっている直近の22年度は4事業で実施した。

 いずれも年度当初に予算を計上した事業で、例えば特別天然記念物指定の「田島ケ原サクラソウ自生地」(桜区)の緊急調査費と維持管理費では、予算額計約1636万円に対してGCFで集まった計約287万円が充てられた。

 このほか児童養護施設を卒園した子どもたちの居場所づくりや、桜回廊の維持運営費、障害者の手作り品の販売支援の3事業で、計約723万円が集まり、いずれも全額が事業費に充てられた。

 ただ、寄付によって事業への支出額が増えるわけではない。年度内の予算額は当初のまま変わらないからだ。

 そのため市はまず、4事業に…

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