UCC上島珈琲の兵庫工場で水素焙煎(ばいせん)されたコーヒー豆=2024年12月9日、兵庫県たつの市、新田哲史撮影

 UCC上島珈琲(神戸市)は4月、水素を熱源として焙煎(ばいせん)したコーヒーの量産を始める。世界初の取り組みという。水素は燃焼時に二酸化炭素(CO2)を出さないため環境に優しいだけでなく、従来の天然ガスより火力の強弱の調整がしやすく、独自のおいしさを引き出せるとしている。

 同社は2022年ごろから水素焙煎の研究を始めた。太陽光など自然由来の電力で水を分解して作る「グリーン水素」を使うことで、焙煎時に出るCO2がゼロになる。UCCグループは40年までに全社でのCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げており、その一歩になるとみる。

 利点はそれだけではない。コーヒー豆は焙煎する時間や温度によって、酸味や苦みなどの味や香りが変わる。

 水素は調整できる火力の幅が広く、特にガスでは安定して出せないごく弱い火でじっくり焙煎できる。それによって酸味やフルーティーさが増すことがわかったという。生産部の藤原朋宏係長は「水素焙煎によって今までになかった豆の個性を引き出すことができ、味の選択肢が広がる」と話す。

高付加価値品としてホテルなどに販売

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 昨秋には兵庫県たつの市の工…

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