高知県

 土佐くろしお鉄道(高知県四万十市)の2023年度決算は、経常損益が6億6319万円の赤字となったが、7期ぶりに赤字幅が対前期比で縮小した。県東部を走る「ごめん・なはり線」でコロナ禍で落ち込んでいた利用が回復したことが影響したという。

 金谷正文社長が27日、高知市内で開いた会見で発表した。金谷社長は「コロナ前の水準には戻っていないが、(前期比で)ようやくプラスという実績を出せたことは大変うれしく思っている。中村宿毛線の中期経営計画とごめん・なはり線のアクションプランを策定し、昨年度ようやくめどがついた。この時期が引き際」と述べ、この日開かれた取締役会に6月7日付けの辞任届を提出し、受理された。

 路線別では、通勤通学利用の多いごめん・なはり線の輸送人員は118万1649人と、コロナ禍前(19年度)の99%まで回復した。駅前に駐車場を開設して列車利用を促す「パーク&ライド」が好調で、通勤定期の利用収入が前期比14%増となった。中村・宿毛線は23年6月に黒潮町で発生した脱線事故で8日間にわたって運転を見合わせた影響などで輸送人員は45万8605人と、コロナ禍前の80%にとどまった。(羽賀和紀)

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