尚絅大学(熊本市中央区)で「くまモン学研究会」が開かれ、「育ての親」である蒲島郁夫・前熊本県知事が特別講義をした。

 尚絅大は2020年度から、くまモンを研究対象とし、年に1回、成果を披露する研究会を一般向けに開いている。今回は9日に開催。教授陣の報告に加え、知事時代にくまモンを県の臨時職員に採用し「営業部長兼しあわせ部長」に任命した蒲島・東京大学名誉教授(政治学)を招いた。

 蒲島氏は、くまモンが登場した15年前を「誰も関心を寄せず、当時の痩せた着ぐるみを見て子どもたちは逃げ出した」と振り返った。「熊本のうまかもんを食べて」太ったことと、商品へのイラスト利用料を無料にした「楽市楽座」方式が功を奏し、利用商品の売り上げは累計で1兆4596億円になったという。

  • 【写真】痩せていた時のくまモン

 天皇皇后(現在の上皇上皇后)両陛下が来熊する際、皇后陛下が2度にわたって「くまモンと会えますか」と尋ねられた。米国のハーバード大学で講演した際、開学以来初めて人類以外が教壇に立つことになり、会場が大教室に変更になった。蒲島氏はこんな逸話も披露しながら、「利用料を取っていたら、これほど愛されていたかどうか。誰もが参加でき、全体をコントロールする者もいない、この共有空間こそ理想的。社会の幸福量の最大化に貢献する可能性がある」と話した。

 研究会の最後には、くまモンが登場。蒲島氏と抱き合った後、踊りを披露して会場を沸かせた。

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