小野薬品工業の本社前の銘板=2024年5月3日、大阪市中央区久太郎町、諏訪和仁撮影
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 がん治療薬「オプジーボ」で収益を伸ばしてきた小野薬品工業(大阪市)の2024年3月期決算は、売り上げ、利益とも過去最高だった。オプジーボ関連が売上高の約6割を占めた。しかし、25年3月期でオプジーボ関連の売り上げは500億円以上減ると見込む。薬価の引き下げや海外で販売する大手から受け取る特許料が減るためという。

 9日発表した24年3月期決算は、売上高が前年比12.4%増の5026億円、本業のもうけを示す営業利益が12.7%増の1599億円、純利益は13.5%増の1279億円だった。オプジーボの売り上げは、主に国内での1455億円と、欧米で販売する海外メーカーから得る特許料など関連収入1509億円の計2964億円。売上高の58.9%を占めた。

 オプジーボの売り上げは、日本国内では薬の公定価格である薬価と、海外メーカーから受け取る特許料に左右される。薬価は、14年に治療に使うことが承認されてから、値段が高かったり、治療に使う患者が増えたりしたため、数度にわたって下げられ、この4月にも15.0%下がった。海外メーカーから受け取る特許料は、徐々に下がる契約になっている。

 一方、治療に使えるがんの種…

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