インタビューに応じたビル・パーキンスさん=2024年9月5日午後11時0分

 日本の高齢者の3分の1が、生きているうちに「財産を使い切りたい」と考えているのに、ためた金融資産は80歳を過ぎても平均で1~2割しか減っていない――。内閣府は8月に発表した経済財政白書でこう分析しました。そんな世相を反映してか、「DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)」(ダイヤモンド社)という米国発の本が静かなブームとなっています。4年前に発売され、累計で39万部を突破。筆者であるコンサルティング企業CEO、ビル・パーキンス氏(55)にインタビューしました。(聞き手=編集委員・森下香枝)

  • 身寄りなき93歳の遺産は20億円 ためこまず「ゼロ」で死ぬには

――資産の6割を老後のために貯金する国民性とされる日本で「DIE WITH ZERO(ゼロで死ね)」がベストセラーになっています。どう思いますか?

  • 3億円の口座が認知症で凍結 「ゼロで死ぬ」準備をFPが始める理由

 4月に日本を訪れ、シニアは次世代に伝統や資産を引き継ぐことを大事に考える一方、古い世代が重荷になってはいけないので、自由に生きたいとも思っていることを知り、驚きました。米国ではこうした考え方は珍しい。私の本は生きているうちに「財産を使い切る」、つまり「ゼロで死ぬ」ことから人生を逆算し、悔いなく生きるノウハウを実用的に書いています。多くの日本人に読んでもらえたのは、財産を使い切ることに対し、罪悪感を感じない免罪符のようなものがほしかったからではないでしょうか。

人々がお金を使い切れない4つの理由

「死ぬときの残高がちょうどゼロになるように消費行動すべき」--。こう提唱したノーベル賞を受賞した経済学者の説をもとにビル・パーキンス氏が解説する貯蓄と支出の最適化とは?

――高齢者の財産に関する意識調査(2023年)で最も多かったのは、「使い切りたい」(34%)、次いで「老後の世話の有無にかかわらず、財産を残したい」(31%)でした。いつ寿命が尽きるか分からない中、「ゼロで死ぬ」ノウハウとはどういうものでしょうか?

 天国に旅立つ瞬間、所持金…

共有
Exit mobile version